●前職は何をされていましたか?
介護関係の仕事でした。
●納棺士という仕事に就いたきっかけは??
ちょうど転職を考えていた時期に、ハローワークの求人募集を見て応募しました。
その少し前、親戚の葬儀で納棺士の方の仕事を見たんです。そこで「こういう仕事もあるんだな」と思っていた時に、求人募集を見たら「あ、ある」と。
何をするかは実際よく分かっていなくて、何となくお化粧をしたり着付けをしたりというイメージしか持っていない状態だったんですが、やってみようと決心して応募しました。
●入社して1年経ちましたが、想像とのギャップはありましたか?
最初はこんなにやりがいのある仕事だとは思っていませんでした。介護の仕事をしていても「ありがとう」とは言われますが、もっと深い「ありがとう」が頂けるので、それはもうすごい良かったなと。
ただやっぱり、悲しみの深いご喪家様を担当させていただくと、私もその悲しみに同調してしまい一緒に泣いてしまう時もあります。それを引きずって、つらい気持ちになってしまうこともしばしばあります。
仕事の内容は意外と肉体労働的なところも多く、思っていたよりも過酷です。綺麗なお化粧や着付けだけではなく、夜の当番があったりと不規則な部分もあります。
●やりがいを感じるのは?
思っていたより礼儀作法に厳しく、先輩から指導をもらうことも多いですが、それを1つずつクリアできるとすごく嬉しいです。練習を重ねて少しずつでも着実にステップアップできていると実感できる時、そこにとてもやりがいを感じます。
●一番嬉しかったことは?
やっぱりご遺族様から感謝を頂けたときが一番です。
初めて全部一人でメイクをした時、ご遺族の方がすごく喜んで下さったんです。故人様は女性の方だったんですが、終わったときに娘さんたちから「ああ、おばあちゃんだ」と声が上がって…その時に「ああよかった」と、とても嬉しく思えたのです。最初のその気持ちをこれからも大事にしていきたいです。
●最近、試験があったそうですね?
はい。納棺士になるための社内試験なんですが、結果は不合格でした。
ショックではありましたが、あのまますんなり合格していたら、それなりの納棺士にしかなれなかったのかなと。
もっと高いレベルを求められているし、自分もそれを目覚すべきだなと思い直しました。
なので今の一番の目標は、試験に合格することです。合格しないと納棺士とは名乗れませんので。
●仕事をするうえでのモットーは?
ご遺族様への「気遣い・思いやり・気付き」を大切にすることです。先輩たちを真似て、自分のものにしていきたいと思います。
●ご家族は?
社会人と高3と高1、息子が3人います。
今の納棺士という仕事については、どんなことをしているのか、最初の私と同じく何となくしか知らないと思います。
●休日もお母さんとして忙しいとは思いますが、趣味は何かありますか?
今は忙しくてなかなか出来ずにいますが、お菓子作りが趣味です。息子たちも喜んで、作るとあっという間になくなります。シフォンケーキが好きで、延々と作り続けたときもありました。
●将来の展望は?
「素敵な納棺士」を目指します。
まずは試験に合格して一人前になることが目標です。女性の先輩の丁寧な納棺、男性の先輩の無駄のない納棺を見て、良いところを全部取り入れていければなと思います。
令和2年4月
※加藤さんは、その後6月に行われた試験に見事合格し「納棺士」として日々奮闘しています。